将棋雑誌にみる中学生棋士④

加藤九段の次に中学生棋士になったのは谷川九段。谷川さんの場合も、小特集というかたちで取り上げられている。印象的なのは、最初にどのようにして将棋を覚えた方法である。


(前略)[谷川九段の父は]将棋をよく知らない。だから百科事典でルールを調べながら兄弟に教えた。今でもその百科事典は「将棋」の項目部分だけ、手垢に汚れて真っ黒だ。([]は補充したもの)



加藤九段が縁台将棋を見て将棋を覚えたのと対照的である。百科事典が家にあったのかどうかわからないが、いかにも住職の家らしい感じがする。
では、四段になった当時の谷川さんの評価はどうだったのか。


``名人候補”である。他の人よりも可能性が高いのはうなづけよう。
(中略)理解のある家庭に育ち、英才教育を受けてきた。傍にはいつも、強い兄がいた(内藤、米長にも通じる)。彼を信頼する師匠を得、同門には関西最大の藤内門下がひしめいてかわいがてもらっている(中原に通じる)。
(中略)将棋は終盤の強さとスピードがある。これは天性のもので、序盤はいくらでも勉強できる。
勝負運、大事な星を落とさない勝ち方。
そして、脚光を浴びるのも早く、その回数も人より多い(以上も中原風)。



「~にも通じる」という表現が多い。また、「他の人よりも可能性が高い」という控えめな言い方にとどめている。加藤九段はこの時点では名人になっていない。中学生棋士が名人に必ずなれるという保証がなかったので、やや抑えた表現になったのだろうか。それでも、四段時では加藤さんのときよりもずっと取り上げられているのは間違いないようだ。
実は、これ以降谷川九段の特集は名人になるまでない。その代わりに、近代将棋で毎月自戦記の連載をしていた。
次回は羽生棋聖について。

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