将棋雑誌にみる中学生棋士⑦

最後は、渡辺竜王である。
渡辺竜王が四段になった2000年になると、加藤、谷川、羽生が全員名人になっている。それだけでなく、過去の例から、中学生棋士が得体のしれない存在というよりは、どのようなキャリアを積んでいくのかについて情報の蓄積ができたと言える。つまり四段になったからといって、すぐにタイトル戦に挑戦するわけではない。
それに加えて、四段としての最初の対局は中学生ではなく、高校生になってからであった。そういう背景もあってか、渡辺さんの昇段が特集をもつまでのインパクトがあったかというと、そうでもなかったんじゃないだろうか。
将棋世界に少しだけ、昇段のことばが載せられている。


(前略)僕は、負けたことよりも、何も考えずに指してしまった自分が情けなくなった。帰りの新幹線の中は、悔しさからか一睡もすることができなかった。



渡辺竜王といえば、序中盤にあまり時間を使わない。形勢が悪い局面であったり、定跡の範疇だと、早く指している印象がある。上記で語られているのは三段リーグでの一局、悪かった形勢から急によくなったところで悪手を指してしまい、そのまま負けたのだそうだ。状況は違うが、早く指す癖は元来のものだったのだろうか。

というわけで、藤井四段以前の中学生棋士がどのように雑誌で取り上げられてきたかを見てきた。四段棋士になったというだけでは、特集を組まれるわけではないようだ。逆に、大活躍をすると大きくクローズアップされている。加藤九段の場合は、順位戦での連続昇級と棋戦優勝、羽生棋聖の場合は全棋士の中で最多勝をあげたことである。やはり勝負の世界、取り上げられるべき棋歴があってこその特集だということだろう。

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