全冠制覇はどのように報道されたか③

この見出しで中原16世名人を取り上げるのは、若干ズレているかもしれない。升田・大山・羽生と違い、全冠制覇していないのだ。しかし、中原16世名人が六冠中五冠を保持したこと、六冠目のタイトルである棋王に挑戦していることは事実である。そこで、中原さんについても追ってみたい。
五冠王になったのは、大山15世名人から棋聖位を奪取してからだ。次のようにある。


中原はこれで五冠王。二月十五日に王将位を防衛し現在進行中の「棋王戦」で加藤棋王に挑戦している。これに勝つと「六冠王」となり、大山十五世名人の持つ数々の大記録の一角を上回ることになる。



十段戦、棋聖戦、王将戦とそれほど調子はよくなかったと、記事は伝えている。十段戦で加藤一二三棋王と3勝3敗になり、棋聖戦では先に大山棋聖に2連敗、王将戦は有吉八段(当時)と1勝1敗のタイだったそうだ。結局、十段と王将は防衛し、棋聖は奪取した。加えて、棋王戦の挑戦権も得ていたという。いやが上にも、全冠制覇への期待は高まる。
五冠王になった中原16世名人はこう言っている。


これで"五冠王"を達成した。
四十八年秋の王位戦に勝って四冠王に就いて以来の課題であったが、ようやく目的を果たした。その間に"棋王"のタイトルが増えて、今期幸運にも挑戦者の名乗りをあげた。"六冠王"が新たな目標であることは言うまでもない。
それにしても"五冠王"になるまでにずいぶん時間がかかったものだ。



大山15世名人が全冠制覇についてあまり積極的な発言をしていないのに対し、中原16世名人はタイトルを独占することに非常に積極的な発言をする。「ずいぶん時間がかかった」という言い方は、五冠、六冠とれるだろうという見込みからだろうか。対照的で面白い。

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