コンピューターが竜王を超える日

AI
1991年の将棋世界の記事の見出しである。インタビュアーは池崎和記さんで、インタビュー相手はゲームプログラマーである森田和郎さん。コンピューター将棋ソフト森田将棋の作者と言ったほうが伝わりやすいかもしれない。
1991年の段階でコンピューター将棋ソフトの製作者で、インタビューを受ける相手というのが森田さんしかいない時代だったのかもしれない。大学のような研究機関で働く研究者はまだ登場できなかったのか、それとも研究を始めていなかったのか。まだ研究を始めていないということはないだろう。だが、当時のその分野の第一人者といえばやはり森田さんなのだろう。自身が将棋四段の実力だったというのも大きいのかもしれない。
記事は森田さんの経歴からはじまり、将棋ソフトについて語るというもの。1991年段階で相当なビジョンをもっていたというのに驚かれされた。一部抜粋する。


日経サイエンス(90年12月1日号)によると、現在、IBMワトソン研究所でディープソートの次世代機を設計中で、来年にはレーティングが3400点レベルに達し、世界チャンピオンのカスパロフを500点上回るだろうという。



将棋でもそうだったが、レーティングでチャンピオンを超えるのと、実際にチャンピオンに勝つあいだには、タイムラグがあるのだろう。ディープブルーがカスパロフに勝利するのは1997年だ。
他方将棋はと言えば、アマ5級程度だったそうだ。チェスの場合は手をしらみつぶしで探索してもなんとかなるそうだったが、将棋はそういうわけはいかなかったようだ。それでも森田さんは大胆な予測をする。


現在の方式だと、いくらやっても限界がありますね。コツコツやっていれば初段になるかもしれないが、五段にはなれない。
(中略)ニューロ・コンピューターといって現在はまだ実験段階ですが、これが実用化されれば・・・たぶん二◯◯◯年を過ぎるでしょうが、そのあと数年で強いプログラムができるでしょうから、僕は二◯一◯年にはコンピューターがプロ棋士に勝てるようになると思います。



ニューロ・コンピューターとはGoogleが開発したAlphaGoにも使われた技術だ。ゲームプログラマーとは言え、大学などで専門で研究経験のなかった森田さんがすばり言っているのに驚愕した。またプロ棋士に最初に買ったのも2013年であり、1991年当時の状況を考えれば、この点もおおむね言い当てているといってもいいのではなかろうか。もっとも、Googleのようなニューロ・コンピューターは使用されていない。ディープラーニングという言葉のほうが、ニューロ・コンピューターよりもずっと有名になってしまったわけだが。
ともかく、1991年の記事なのにまったく古さを感じさせない。


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