未来のことはわからない

体調が優れず、なかなか更新できなかった。ネタ切れということはない。書きたいことは山ほどある。

それはともかく、藤井聡太四段がまた勝ちまくっている。C2を一気抜けしそうなのも凄いことだが、佐藤天彦名人に勝ったり、朝日杯で羽生善治二冠と対局予定だとか、規格外の強さとしか言えない。

連勝後はしばらく勝てない対局が続き、「こんなもんなのか」という声をちらほらネット上で見かけた。私はほとんど気にならなかった。谷川九段や羽生二冠のような先人たちも、勝てない時期があったからではない。プロでさえ、若手棋士の未来のことを予想するのは難しいからだ。

河口俊彦八段の対局日誌を眺めて、その思いを一層強くした。



羽生や、村山、佐藤(康)、森内といった少年達の将棋は、一見どってことのない将棋である。寄せがけたちがいに正確なことは認めるが、そこまでは、ごく平凡である。変った駒組を作るとか、いままでにない仕掛け方を工夫するとか、といった才能のひらめきはない。しかし、ともかくこれだけ勝たれては、強いというしかないだろう。




村山九段はすでに亡くなってしまったので何とも言えないが、将棋を指す人なら羽生・佐藤(康)・森内といったトップ棋士の棋風は把握しているだろう。もっとも(佐藤康光九段だけ例外だが)、序盤は定跡通りにという意味で、河口八段は言っているのだろう。棋風というのは作られていくものかもしれない。

そう言えば、「米長の将棋」の横歩取りの章に、中原16世名人との初対局の棋譜解説が載せてある。戦法は、横歩取り2三歩戦法。先手有利ということがいまでは言われているが、この当時は結論が出ていなかった。米長永世棋聖もそのなかで語っているが、終盤がこの頃が一番強かったそうだ。若手の寄せが桁違いに正確という特徴づけは、羽生世代の棋士だけに当てはまるものではない。米長永世棋聖も、そして先人たちも同じような歩みをしてきたのかもしれない。



その強さだが、どこがどう強いのか、私には判らない。
(中略)ま、どうなるかは時が解決してくれるだろう。さっきも言ったように、高橋[道雄九段]や中村[修九段]と、同じくらいの才能だった、ということもありうる。そういった点が、徐々に判ってくるのが楽しみなのである。




ちょうど佐藤康光九段が四段に上がったころの「対局日誌」である。高橋九段や中村九段もタイトル保持者だったから十分な実力者なのだが、河口八段には物足りないと映っていたのかもしれない。

未来がどう転ぶのかはわからない。藤井四段にも当てはまることだ。