「指さない将棋ファン」という思想⑧

2017/10/28 19:42
第七章 対談ー羽生善治×梅田望夫 梅田さんが「シリコンバレーから将棋を観る」の中で試みたことをこれまで考察してみた。その上で、第七章を読んでみよう。そこには梅田さんがやりたかったことが語られている。その前に、羽生さんが梅田さんの試みをどのように捉えていたのかを見る。というのも、羽生さんがうまく咀嚼し明快に述べていると感じるからである。 羽生 (前略)今までは、将棋を世に伝えるための道は、決まっていましたからね。今回のことでまた、新しい道ができつつあるのかな..

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「指さない将棋ファン」という思想⑦

2017/10/26 20:43
第六章 機会の窓を活かした渡辺明 梅田さんにとって、インターネットと社会性が「指さない将棋ファン」を引き込む手段であることは、これまで見てきたとおりである。これらは、梅田さんにとって饒舌に語りうるモノであった。だが、もう一つの武器が梅田さんにあった。それは、思想、哲学である。一見したところ、梅田さんと結びつきにくいモノである。そして、「指さない将棋ファン」にとっても馴染みが薄いかもしれない。だからこそ「指す将棋ファン」に受け入れられるためには、将棋と思想とを結びつけ..

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「指さない将棋ファン」という思想⑥

2017/10/24 19:35
前章に続いて、梅田さんが注目する社会性という考えについて取り上げてみたい。四章では、経営陣のひとりとしての棋士像ということで深浦九段がピックアップされた。今度は、渡辺竜王である。 (前略)彼[渡辺竜王]の著書『頭脳勝負』をゲラ段階で読んで、私は彼の使命感と危機感に打たれた。(中略)一言でいえば、渡辺さんは、「将棋が強ければ飯が食える」という棋士という職業の前提が、自分の時代には「放っておいたら」崩れるかもしれないという危機感を抱き、その厳しい現実に真剣に立ち向かう使..

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「指さない将棋ファン」という思想⑤

2017/10/22 18:56
第四章 棋士の魅力―深浦康市の社会性 指さない将棋ファンと言うのは、具体的にどのような層なのだろうか。対談の中で、梅田さんはこう言っている。 ぼくは、変な言い方をすると、ちょっと、いままでね、生真面目に生き過ぎてるんですね。(中略)だから、最近は、ちょっと肩の力を抜いて、仕事と離れたことをやっていこうと思っていて。具体的には、あの、ぼくは将棋が好きでね。(中略)子どものころは大好きだったんですけど、二十歳のころから40歳のときまで、一切やらなかったんです。..

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「指さない将棋ファン」という思想④

2017/10/21 19:48
第2章 佐藤康光の孤高の脳ー棋聖戦観戦記 第3章について述べたように、梅田さんのブログ観戦記はある種の挑戦である。ブログというメディアを使って、「指さない将棋ファン」を満足させなければならない。だが、ブログの特徴には2つの側面がある。情報を事実上無制限に提供をできるという旧来からある側面と、「双方向性」をもちつつスピーディに情報を伝えることができるという側面である。この2つを両立することは難しい。難しいというのは、時間的制約を受けるからである。つまり、対局中で伝えた..

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「指さない将棋ファン」という思想③

2017/10/19 20:38
第2章は、梅田さんによる79期棋聖戦のウェブ観戦記である。実はもうウェブ上には残っていない。当時は産経新聞のウェブサイト上にアップロードされていた。ちなみに80期の棋聖戦のウェブ観戦記のほうは残っている。将棋連盟が観戦記ブログを管理しだしたからだ。ともかく、先に第3章を見たい。そこで梅田さんがウェブ観戦記について、種明かしをしているのだ。 まず、これまでの流れを復習しておこう。序章で明らかにされたのは、梅田さんによる「指さない将棋ファン」宣言である。それと同時に、「指さない..

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「指さない将棋ファン」という思想②

2017/10/18 19:06
第1章 羽生善治と「変わりゆく現代将棋」 「変わりゆく現代将棋」というのは、将棋世界で羽生さんが連載していた企画であり、矢倉戦のオープニングを語るだけで終わってしまった。もともと、第一章だけで終わる予定だったそうだ。この羽生さんの連載について、梅田さんが語るのである。 矢倉の将棋っていうのは、先手が▲7六歩と指すと後手が△8四歩と指し、そこから▲6八銀△3四歩と続いて、お互いに矢倉にしましょうねという約束事の手順を二人で二十何手か指して勝負が始まるものなの..

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「指さない将棋ファン」という思想①

2017/10/17 19:09
梅田望夫さんが自らのことをそう呼んでいた。梅田さんと言えば「シリコンバレーから将棋を観る」などの将棋関連の著書がある。金子金五郎という棋士については彼のブログや本で知ったのであり、おかげで昔の近代将棋や将棋世界を読むという変な習慣もできてしまった。 「指さない将棋ファン」が将棋を語ることは難しい。書くことも難しいし、読まれることも難しい。将棋を指したことがないのに、将棋について語れるのか? 梅田さんはそれをやってのけたのだが、長続きしなかった。理由はわからない。本人が飽き..

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