未来のことはわからない

2018/01/30 19:00
体調が優れず、なかなか更新できなかった。ネタ切れということはない。書きたいことは山ほどある。 それはともかく、藤井聡太四段がまた勝ちまくっている。C2を一気抜けしそうなのも凄いことだが、佐藤天彦名人に勝ったり、朝日杯で羽生善治二冠と対局予定だとか、規格外の強さとしか言えない。 連勝後はしばらく勝てない対局が続き、「こんなもんなのか」という声をちらほらネット上で見かけた。私はほとんど気にならなかった。谷川九段や羽生二冠のような先人たちも、勝てない時期があったからでは..

続きを読む

河口俊彦「対局日誌」で注目された棋士たち⑤

2018/01/02 22:00
河口八段だけのことなのか、それとも棋士一般の反応だったのかはっきりしない。ともかく、「対局日誌」はデビュー時からずっと羽生善治を追っている。 『先を読む頭脳』という著書を以前紹介した。羽生二冠の学習方法をインタビューし、それを心理学や教育学、あるいは認知科学の立場から分析しようという、意欲的な研究を披露した本だ。その中で、羽生二冠自身が四段になって実力が伸びたと告白している。定跡を勉強することで、実力アップに繋がったそうだ。学習の効果は成績にも反映していて、ちょうどその時期..

続きを読む

河口俊彦「対局日誌」で注目された棋士たち④

2017/12/26 23:00
羽生二冠は特別な存在である。 今更なことだが、デビュー時の注目度という意味でずば抜けていたという点でだ。以前、中学生棋士の取り上げ方を見てきた。四段時から大きく取り上げられていたわけではない。それでも加藤九段から後の時代になるにつれ、扱われ方がだんだんと大きくなっていった気がする。 「対局日誌」でも、羽生二冠がデビュー時から取り上げられていたことがわかる。 新四段・羽生の前評判はすごい。今日がデビュー戦だが、毎日グラフ、フォーカスが取り上げたのだからたいしたもの..

続きを読む

河口俊彦「対局日誌」で注目された棋士たち③

2017/12/25 23:00
どの棋士に注目するのか選別するのは難しい。今だったら誰だろう。藤井四段は外せないとして、タイトル挑戦すらしていない棋士から選べというなら、増田四段か。黒沢四段もいま棋王戦の挑戦者決定戦に出場しているから選んでみたい。こんな風に試行錯誤していくと、思ったほど独自の見解を打ち出すのは難しいように思えてしまう。 河口八段が高橋九段のほかに注目していたのが、中村九段である。もっとも棋聖戦の挑戦者になったというのが大きいであろう。米長永世棋聖へのタイトル挑戦時の「対局日誌」から抜粋す..

続きを読む

河口俊彦「対局日誌」で注目された棋士たち②

2017/12/22 19:00
芹沢がまた血を吐いたという。 今年になってからの芹沢は、玉手箱の煙りにふれた浦島太郎みたいな有様で、いずれ酒をやめないかぎりこうなることはわかりきっていた。 (中略)ある時、真部と酒を飲んでいてそのことを云うと「そんな心配はむだですね。酒を飲まない芹沢さんなんて、生きている価値がないですよ」という。 将棋棋士には無頼と思われる棋士が一定数いる。今ならば、先崎九段や田村七段だろうか。囲碁には、藤沢秀行というビッグネームがいた。将棋だと、坂田三吉だろうか。 ..

続きを読む

河口俊彦「対局日誌」で注目された棋士たち

2017/12/20 20:00
以前、トップ棋士になるような棋士は人間的な経験が豊富でなければならないという先入観が、河口八段にはあったと書いた。1983年頃の話である。谷川九段が21歳で名人になり、高橋九段が王位になった年である。谷川・高橋だけでなく、当時塚田・中村・南という棋士たちも勝ちまくっていたそうだ。 河口八段に心境の変化があったと形容したが、では誰に注目したのか。谷川九段、と言いたいところだがそうではない。中原・谷川については語りにくいと告白しているように、加藤一二三九段に名人戦を挑戦している..

続きを読む

「対局日誌」における河口俊彦八段の変化

2017/12/10 20:00
将棋マガジン誌で連載されていた「対局日誌」を年代順に読んでいくと、いろいろ変化が読み取れる。河口八段自身が変化したからなのか、将棋界が変化したからなのかはわからない。 そんな変化のうちのひとつに、名人について語るようになったというのがある。中原誠名人時代に「対局日誌」が連載開始されたのだが、中原16世名人についてあまり立ち入った分析はされていない。これは、加藤一二三九段が名人になっても同じ傾向が見られた。中原16世名人は、河口八段にとって語られにくい存在だったのだ。 それ..

続きを読む

旧版「対局日誌」を目にする

2017/12/01 19:00
河口八段の「新・対局日誌」は目にしたことが何度かあった。将棋世界で連載されていたものを集めた本だ。しかし、将棋マガジンで連載していた「対局日誌」が書籍化していたことを知らなかった。 このブログでちょっと拙いこと書いてないかと気になった。将棋マガジンの連載だけを追っていたので、河口八段の意図を汲み損なってのか気になったのだ。書籍化されたほうの「対局日誌」にしか書いていないことがあるのでは、と。少し不安になったので確認すると、書き起こしが少しあるのに気づいた。 「対局..

続きを読む

将棋棋士にも予測できないこと

2017/11/27 19:00
河口俊彦八段による将棋日誌より。 高橋が内藤を破った。 (中略)将棋は単なる技術の争いではなく、人間対人間の戦いなのだから、名人、タイトルを取ろうとするなら、人生の修羅場を経験しなければならない。という考え方がある。 (中略)ところが、そうしたムダな経験のまったくない、谷川や高橋や南や中村や塚田などが勝ちまくっている。 これはいったいどういうことなのか。将棋とはそんなものだったのか。そこのところがどうも判らない。 谷川九段が名人になり、高橋九段が王位..

続きを読む

文筆家としての河口俊彦の原点⑥

2017/11/23 22:39
将棋マガジンで連載されていた「対局日誌」だが、3年目に転機を迎える。これまで1月あたり4ページだったのが、6ページに増えたのだ。2ページ増えた分、内容も増やさなくてはいけない。逆に言えば、スペースに余裕ができたとも言える。 これまでは、あまりまとまった主張というのがあまり表に出ていなかった。だが連載の冒頭に、対局とは直接関係のない雑文が乗せられるようになる。 名人戦が終って、また、順位戦のシーズンとなった。今年はどんなドラマを見せてくれるだろう。年々歳々登場する人..

続きを読む

文筆家としての河口俊彦の原点⑤

2017/11/21 19:00
一流棋士への視線 「大山康晴への晩節」の中で、河口八段は構想をずっとしたためてあったと告白している。対局日誌開始後だろうか、それ以前なのかはっきりしない。しかし、一流棋士への視線というのを感じる。「羽生世代の衝撃」もまた同じだ。 たとえば、対局日誌に次のような記載がある。 勝っても負けても、実質的にはなんの影響もないという対局が4局ある。 (中略)一流棋士は、こんな時、どのような将棋を指すものだろう。めったにない機会なので、別の興味も湧く。 ..

続きを読む

文筆家としての河口俊彦の原点④

2017/11/18 19:00
河口八段の「対局日誌」より。 勝負というものはおそろしいもので、勝つまでは絶対に気を緩めていはいけない。 特に、将棋は勝ちをあせったらかならず逆転する。菊地[常夫五段(当時)]とてそれはよく知っていたが、あまりにも形勢が良すぎた。 軽率な手順前後(中略)が出て、アッというまに転落した。 この抜粋を見て、何か思い浮かぶことがあるだろうか。 「対局日誌」連載当初には、それほど河口八段の自己主張というのは見られなかった。「川口篤」に徹していたからだろうか。..

続きを読む